モバイルバッテリーの発火リスクと防止策:安全に使うためのポイント

コラム

モバイルバッテリーの発火リスクとは?


モバイルバッテリーは、日常生活で非常に便利なアイテムですが、正しい使い方をしないと発火のリスクが伴います。その原因は、モバイルバッテリーに使用されているリチウムイオン電池にあります。

リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、多くの電力を小さなスペースに蓄えることができる一方で、取り扱いに注意が必要です。ここでは、モバイルバッテリーの発火リスクについて詳しく解説します。

リチウムイオン電池の構造と危険性

リチウムイオン電池は、正極と負極、そしてその間に存在する電解質で構成されています。バッテリーが充放電を繰り返す際、内部で化学反応が起こり、電力が供給されます。しかし、内部の構造が何らかの理由で損傷したり、誤った充電によって不均衡が生じると、電池内でショートが発生し、急激に熱を発して発火することがあります。

特に、リチウムイオン電池の内部が損傷すると、電解質が漏れ出すことがあり、これが発火の直接的な原因になります。このため、モバイルバッテリーを落としたり、強い衝撃を与えることは避けるべきです。

発火する主な要因

モバイルバッテリーの発火リスクを高める要因はいくつかありますが、特に以下の3つが大きな原因となります。

  • 過充電: モバイルバッテリーを長時間充電したままにしておくと、内部でガスが発生し、膨張や短絡(ショート)を引き起こすことがあります。特に、過充電防止機能がついていないバッテリーでは、このリスクが高まります。
  • 物理的ダメージ: バッテリーを落としたり、強い衝撃を受けた場合、内部の構造が壊れ、短絡(ショート)が発生することがあります。外観に異常が見られなくても、内部にダメージがある可能性があるため、注意が必要です。
  • 高温環境: モバイルバッテリーは、高温環境で使用したり保管すると、内部の化学反応が異常をきたし、発火のリスクが増加します。夏場の車内や、直射日光が当たる場所に長時間置くことは避けるべきです。

これらの要因が重なることで、モバイルバッテリーの発火リスクが高まります。普段から適切な取り扱いを心がけることで、こうしたリスクを最小限に抑えることができます。

 

モバイルバッテリーの発火が起こる確率


モバイルバッテリーが発火する確率は非常に低いですが、完全にリスクがないわけではありません。リチウムイオン電池を使用しているモバイルバッテリーは、高エネルギー密度を持つため、適切に管理されていないと稀に発火事故が発生することがあります。では、その確率は実際どのくらいなのでしょうか?

モバイルバッテリーの発火事故の発生頻度

統計によると、一般的なリチウムイオンバッテリーが発火する確率は数百万個に1個程度とされています。具体的には、数百万台に1台の割合で発火事故が発生していると言われています。この確率は非常に低く、日常的に使用している多くのモバイルバッテリーは正常に機能しています。

しかし、極めて低い確率であっても、バッテリーの数が膨大であるため、発火事故は世界各地で散発的に報告されています。特に近年では、スマートフォンやノートパソコン、電動工具など、リチウムイオンバッテリーの使用が急速に拡大しており、これに伴って事故件数が増加している傾向も見られます。

発火リスクを高める条件と確率の変動

通常の使用では発火の確率は低いですが、特定の状況下ではリスクが高まることがあります。以下の条件下では発火の確率が上がるとされています。

  • 高温環境: 高温下での使用や保管は、バッテリーの内部反応を加速させ、発火リスクを高めます。特に夏場に車内に放置したり、直射日光の下に長時間置くと、発火の確率が高まります。
  • 過充電: 過充電を繰り返すと、バッテリー内部に負担がかかり、ガスが発生し膨張や発熱を引き起こします。これが発火の引き金になることがあり、特に過充電防止機能がないバッテリーでは、リスクが増加します。
  • 物理的ダメージ: 落下や強い衝撃によりバッテリー内部が損傷すると、内部短絡が起こる可能性があり、発火のリスクが高まります。この場合、発火の確率は大幅に上昇します。
  • 粗悪品の使用: 安価で品質の低いモバイルバッテリーは、発火するリスクが相対的に高いとされています。信頼できるメーカーの製品と比較すると、品質基準が満たされていない製品は、過充電や過熱による発火の確率が高くなります。

実際の発火事例とその確率

近年、発火事故の報告は増加していますが、それはモバイルバッテリーの普及に比例しています。特に粗悪品や規格外のバッテリーに起因する事故が多く報告されており、そのような製品を使用することで発火確率は高まります。

例として、過去には大量のリコールが行われたケースもあり、大手メーカーが不良品を回収することで事故を未然に防いだ事例も存在します。このような事故の多くは、過充電やバッテリーの膨張が原因となっており、適切に管理された製品ではその確率は非常に低いです。

 

モバイルバッテリーの発火を防ぐための対策

モバイルバッテリーの発火リスクを最小限に抑えるためには、適切な使い方や保管方法を守ることが非常に重要です。ここでは、発火を防ぐために実践すべき対策について解説します。

過充電を防ぐ

モバイルバッテリーを充電しっぱなしにすると、内部でガスが発生し、膨張や発火の原因となる可能性があります。そのため、充電が完了したら速やかに充電を切り離すことが大切です。特に、過充電防止機能がない古いバッテリーや、安価なバッテリーは注意が必要です。過充電防止機能付きのバッテリーを選ぶことで、過充電によるリスクを大幅に軽減できます。

適切な保管環境

モバイルバッテリーは、適切な温度で保管することで発火のリスクを減らすことができます。高温多湿の場所に置いたり、直射日光が当たる場所に長時間放置するのは避けましょう。特に、夏場の車内は非常に高温になりやすく、モバイルバッテリーが発火する可能性が高まります。涼しく、乾燥した場所で保管することが推奨されます。

物理的なダメージを避ける

モバイルバッテリーを落としたり、圧力がかかる状態で使用すると、内部の構造が破損し、短絡(ショート)による発火のリスクが高まります。バッテリーを落とさないように丁寧に扱い、特に旅行や外出時には衝撃吸収材などで保護することが重要です。万が一落とした場合は、外観や動作に異常がないかすぐに確認し、異常があれば使用を中止しましょう。

品質の高い製品を選ぶ

発火のリスクを減らすためには、信頼性のある製品を選ぶことが重要です。安価なバッテリーや規格外の製品は、安全性が保証されていない場合が多いため、できるだけ避けるべきです。日本国内では、PSEマークが付いている製品が安全性の基準を満たしているため、購入時にこのマークを確認することが推奨されます。

使用後は必ず電源を切る

モバイルバッテリーを使用した後は、電源を切っておくことで、誤作動や過熱を防ぐことができます。また、長期間使用しない場合は、適切な充電量(50%前後)にして保管することで、バッテリーの寿命を延ばし、発火リスクを減らすことが可能です。

 

発火が起こった場合の対処法

モバイルバッテリーが発火した場合、迅速で正しい対処をすることが重要です。発火したバッテリーを適切に処理しなければ、火災が拡大する恐れがあり、大きな危険を伴います。ここでは、発火が起こった際の具体的な対処法を紹介します。

発火時の緊急対応

モバイルバッテリーが発火した際は、パニックにならずに冷静に対応することが大切です。発火したバッテリーに直接触れたり、移動させるのは非常に危険ですので、まずは以下の手順で対処しましょう。

  • 発火場所を避けて離れる: バッテリーが発火したら、まずは周囲の人や自身が安全な場所へ速やかに避難します。モバイルバッテリーは急激に発熱し、爆発する可能性もあるため、十分な距離を取ることが大切です。
  • バッテリーに水をかけない: リチウムイオンバッテリーが燃えている状態で水をかけると、反応が激しくなり火勢が強まることがあります。発火したモバイルバッテリーには水を使用しないでください。
  • 消火器を使用する: モバイルバッテリーの火災には、ABC粉末消火器が適しています。すぐに手元に消火器がない場合は、濡れた布や砂を使って火を覆う方法もあります。消火器がある場合は、指示に従い、炎を完全に消すまで使用してください。

消火後の対応

火が消えた後も、バッテリーは内部に熱を持っている可能性があるため、すぐに触らないようにしましょう。完全に冷めるまで待ち、火元が再び燃えないことを確認してから次の手順に進みます。

  • 使用済みバッテリーの処分: 発火したバッテリーは、使用することができないため、適切な方法で処分する必要があります。自治体のリサイクルセンターや家電量販店で回収してもらうか、専門の廃棄業者に依頼しましょう。
  • 周囲の安全確認: バッテリーが発火した場所が燃えやすい材料で覆われていた場合、周囲に火が移っていないか確認します。万が一、火災が広がっていたら、速やかに消防に連絡してください。

火災を防ぐための予防策

発火事故を防ぐためにも、日常的に次のポイントに注意しておきましょう。

  • バッテリーを高温環境に放置しない: 直射日光や車内などの高温環境に置くことで、バッテリーの温度が上昇し、発火するリスクが高まります。常に涼しく、乾燥した場所に保管するようにしましょう。
  • 異常を感じたら使用を中止: モバイルバッテリーが異常に熱くなったり、膨らんできた場合は、すぐに使用を中止し、適切に処分しましょう。異常を感じた時点で使用を続けると、発火する可能性が高まります。

よくある質問(FAQ)

モバイルバッテリーが火事になる原因は何ですか?

モバイルバッテリーが火事になる主な原因は、過充電や高温環境での保管、物理的なダメージによる内部構造の損傷です。特に、リチウムイオン電池は過充電や過熱によって発火のリスクが高まります。また、バッテリーを落とすことで内部が損傷し、ショート(短絡)が発生することもあります。

モバイルバッテリーは発火する可能性がありますか?

はい、モバイルバッテリーは発火する可能性があります。ただし、発火の確率は非常に低く、通常の使用ではほとんど問題はありません。発火リスクを最小限に抑えるためには、過充電を避けることや、直射日光や高温多湿の環境を避けることが重要です。

バッテリーの発火を防ぐには?

発火を防ぐためには、過充電を避ける、高温環境で保管しない、物理的な衝撃を与えないことが大切です。さらに、品質の高いバッテリーを使用し、定期的に状態をチェックすることで、発火リスクを大幅に減らすことができます。

モバイルバッテリーが発火する気温は?

一般的には、40℃以上の高温環境でモバイルバッテリーを長時間使用・保管すると、発火のリスクが高まります。特に、直射日光が当たる場所や、夏場の車内は危険です。リチウムイオン電池は、極端な温度変化に弱いため、適切な温度管理が必要です。

まとめ

モバイルバッテリーは非常に便利なアイテムですが、正しい使用と保管が求められます。発火リスクは低いものの、過充電や高温環境、物理的な損傷によって事故が発生する可能性があります。この記事で紹介した対策を実践することで、発火リスクを最小限に抑えることができます。

特に重要なのは、過充電を避ける適切な温度で保管する物理的な衝撃を与えないといった基本的な使い方です。異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、バッテリーが発火した場合は冷静に対処することが大切です。

安全にモバイルバッテリーを使用するためには、日常的なチェックと、信頼できる製品の選定が不可欠です。適切に使用して、長く安全にモバイルバッテリーを活用しましょう。