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モバイルバッテリーの正しい捨て方と回収ルール
モバイルバッテリーは普通ごみには出せません。リチウムイオン電池を内蔵しているため、収集車や処理施設で圧縮・破砕されると発火するからです。ところが実際には、寿命を迎えたときや買い替えの際に「どうやって捨てればいいのかわからない」と悩む人が後を絶ちません。
モバイルバッテリーを家庭ゴミ(可燃ゴミ・不燃ゴミ・粗大ゴミなど)としてゴミ箱に捨てるのは絶対にNGです。2026年現在、モバイルバッテリーの処分には明確な回収ルールが定められています。間違った捨て方をすると、ゴミ収集車や処分場での重大な火災事故を引き起こす原因になり、大変危険です。
「捨て方がわからない」のは、あなただけではありません
東京都が2026年6月から都庁第一本庁舎で行っているリチウムイオン電池等の回収実証では、最初の36日間で1,983人が持ち込み、4,625点が集まりました。品目別で最も多かったのはモバイルバッテリーで1,500点(32.4%)です。
注目したいのは、なぜこれまで捨てられずにいたのかという回答です。

- 捨て方がわからなかった:831件(48.7%)
- 面倒だった:253件(14.8%)
- 住んでいる自治体では捨てる方法がなかった:216件(12.7%)
処分方法や回収先に関する回答を合わせると61.4%です。危険だと知りながら放置していたというより、持っていく先が分からなかった人が大半でした(株式会社フォーステック 2026年9月9日公表)。
この記事では、その「持っていく先」を具体的に挙げていきます。
なぜ家庭ゴミ(可燃・不燃)で捨ててはいけないのか?
モバイルバッテリーの多くには「リチウムイオン電池」が使われています。この電池は非常に強いエネルギーを蓄えており、ゴミ収集車の中で圧迫されて破裂したり、他の金属と接触してショートしたりすると、激しく発煙・発火する特性を持っています。
実際に件数も出ています。消防庁の調査によると、廃棄されたリチウムイオン電池等を回収中の塵芥車およびごみ処理関連施設から出火した火災は、令和4年161件、令和5年171件、令和6年180件(令和7年は1〜6月で115件)にのぼります(消防庁 令和8年1月29日公表)。作業員の負傷や施設の停止につながる深刻な事故です。
こうした事情から、ほぼすべての自治体が「家庭ゴミとしての排出は不可」としており、環境省も市町村に対して分別・拠点回収の徹底を求める方針を示しています(環境省「リチウム蓄電池関係」)。排出方法は自治体ごとに定められているため、お住まいの市区町村のルールに従ってください。
2026年現在のモバイルバッテリー処分方法4つの選択肢
使い終わったモバイルバッテリーを安全に処分する方法には、大きく分けて以下の4つの選択肢があります。それぞれのライフスタイルや、手元にあるバッテリーの状態に合わせて最適な方法を選びましょう。
- 方法1:お住まいの自治体が設置している専用の回収拠点に出す
- 方法2:JBRC加盟の家電量販店やホームセンターなどの回収箱に持ち込む
- 方法3:エレコムデザインショップなどの特定ブランドの店頭回収を利用する
- 方法4:メーカーが提供している配送回収サービス(エレコム修理センターなど)へ郵送する
モバイルバッテリーを処分・回収に出す4つの方法
お住まいの自治体が決まっている方へ
出し方は自治体によって根本から違います。集積場所に出せる市もあれば、持ち込み以外に方法がない市もあります。公式の案内を確認できた自治体は、個別のページにまとめています。
- 京都市(定期収集には出せません。市の資源物回収拠点か移動式拠点回収へ)
- 神戸市(クリーンステーションには出せません。黄色い円柱の電池類回収ボックスへ)
- 札幌市(ごみステーションには出せません。JBRC協力店か市の回収拠点へ)
- 千葉市(市の拠点回収です。環境事業所か新浜リサイクルセンターへ)
- さいたま市(ごみ収集所には出せません。白色の電池回収ボックスへ)
- 大阪市(集積場所には出せません。拠点回収か、電話で申し込む訪問回収です)
- 堺市(電話で申し込んでから出します。受付番号を書いて集積所へ)
- 仙台市(「缶・びん・ペットボトル、廃乾電池類」の日に、黄色の回収箱へ)
- 岡山市(月2回の「資源化物の日」に、灰色コンテナへ廃乾電池として出せます)
- 広島市(月2回の「有害ごみ」の日、または区役所の回収ボックスへ)
- 名古屋市(プラスチック資源の日に、無色透明の袋で集積場所に出せます)
- 新潟市(月1回の「特定5品目」の日に集積場へ出せます)
- 世田谷区(不燃ごみの日に、別の袋へ「充電式電池」と書いて出せます)
- 練馬区(不燃ごみの日に、他の不燃ごみとは別の袋で出せます)
- 江戸川区(燃やさないごみで出せます。膨張・変形したものも対象です)
- 江東区(燃やさないごみの日に出せます。膨張品は「膨張電池」と表示して)
- 足立区(ごみでは出せません。区の2施設かJBRC協力店へ持ち込みます)
- 板橋区(区では回収しません。まずJBRC協力店、だめなら不燃ごみか区の窓口)
- 杉並区(集積所では回収しません。区立施設15か所のリサイクルボックスへ)
- 葛飾区(膨張品やマークのないものは燃やさないごみへ。状態で出し先が変わります)
- 大田区(区内20か所の回収ボックスへ。膨張・破損品も入れられます)
- 熊本市(月2回、ペットボトルと同じ日に「特定品目」として出せます)
- 横浜市(燃やすごみの日に「電池類」として集積場所に出せます)
- 川崎市(月2回の「小物金属」の日に、透明な袋と貼り紙で出せます)
- 相模原市(今は拠点回収のみ。2026年10月から集積場所でも収集が始まります)
- 北九州市(ごみには出せません。区役所・市民センターの回収ボックスへ)
- 福岡市(ごみ袋では出せません。回収ペール缶のある拠点へ持ち込みます)
一覧は捨て方・リサイクルにまとめています。掲載していない自治体は、市区町村名と「モバイルバッテリー 処分」で検索すると公式の案内が見つかります。
方法1:お住まいの自治体の回収拠点に出す
多くの自治体では、役所や公民館、地域の清掃センターなどに「小型家電回収ボックス」や「ボタン電池・充電式電池の専用回収窓口」を設置しています。
回収ルールや受付窓口は地域によって細かく異なるため、まずはインターネットで「(お住まいの市区町村名) モバイルバッテリー 処分」または「小型充電式電池 回収」と検索し、公式ホームページの案内を確認してください。自治体によっては、後述する「本体が膨張してしまったバッテリー」でも例外的に窓口で引き取ってくれるケースがあります。
方法2:JBRCの回収協力店(家電量販店など)に持ち込む
最も身近で利用しやすいのが、一般社団法人JBRCに加盟している全国の家電量販店、ホームセンター、一部のスーパーなどに設置されている「小型充電式電池リサイクルBOX」への持ち込みです。
JBRCの公式ホームページ内にある「協力店・協力自治体検索ページ」を使えば、最寄りの回収スポットを簡単に探すことができます。ただし、このルートを利用できるのは「JBRCに加盟しているメーカーの製品」かつ「本体に破損や膨張がないもの」に限られます。また、最新のナトリウムイオン電池などは対象外となるため注意が必要です。
【参考】JBRC 協力店・協力自治体検索ページ(外部サイト)
【2026年10月〜】Anker Storeで他社製品も回収(埼玉県内4店舗)
アンカー・ジャパンは埼玉県および松田産業と連携し、2026年10月1日から12月23日まで、県内のAnker Store 4店舗でリチウムイオン電池等の店頭回収を行います。
- 対象品目:モバイルバッテリー/ワイヤレスイヤホン/加熱式・電子たばこ
- 対象製品:Ankerグループ製品以外も回収対象
- 店舗:入間(三井アウトレットパーク入間 1F)、ららぽーと富士見(2F)、越谷レイクタウン(イオンレイクタウンkaze 3F)、ふかや花園(ふかや花園プレミアム・アウトレット)
他社製品も持ち込めるのがこの取り組みの大きい点です。「買ったメーカーに回収窓口がない」という理由で止まっていた場合、期間内であれば現実的な選択肢になります(アンカー・ジャパン 2026年9月1日発表)。
方法3:特定のブランド直営店(エレコムデザインショップなど)に持ち込む
一部の周辺機器メーカーでは、環境保全への取り組みとして自社・他社を問わず店頭での無償回収を行っているケースがあります。
たとえば「エレコムデザインショップ」の実店舗では、不要になったモバイルバッテリー(リチウムイオン電池搭載品)の回収を受け付けています。エレコム製品以外の他社製品であっても、JBRC加盟企業のものであれば引き取ってもらえます。買い物のついでにスタッフへ手渡しして処分できるため、非常に確実で安全な方法です(※大量の持ち込みなどの場合は制限されることがあります)。
方法4:メーカーの郵送回収サービス(エレコム修理センターなど)を利用する
「近くに家電量販店も自治体の回収ボックスもない」という場合は、メーカーが実施している配送・郵送による回収サービスを利用するのが便利です。
一例として、エレコムでは自社製のモバイルバッテリーに限り、「エレコム修理センター」への元払い発送による回収を受け付けています。この配送回収の大きなメリットは、通常は店舗で断られやすい「膨張してしまったモバイルバッテリー」も回収対象となっている点です。輸送中の安全のために端子を絶縁し、しっかり梱包した上で指定の場所に発送します(※送料は自己負担となります。受付条件は公式FAQに載っています)。
回収に持っていく前に必ず確認すべき4つのチェックポイント

モバイルバッテリーを回収場所へ持ち込む、あるいは発送する前には、安全確保とスムーズな引き取りのために以下の4つのポイントを必ずチェックしてください。
1. 電池の種類(リチウムイオンかナトリウムイオンか)
製品の本体裏面や取扱説明書を見て、使われている充電池の種類を確認しましょう。主流は「リチウムイオン電池(Li-ion)」ですが、2025〜2026年以降、新しい技術として「ナトリウムイオン電池」を搭載したモデルも登場しています。
JBRCの回収ボックスなど、従来の回収ルートの多くは「ナトリウムイオン電池」に対応していません。電池の種類によって持ち込める場所が変わるため、リサイクルマークや仕様表の確認は必須です。
2. 金属端子の絶縁処理(ビニールテープでの保護)
回収ボックスの中や輸送中に、モバイルバッテリーのUSBポート(金属端子部分)が他の電池や金属と接触すると、予期せぬ通電(ショート)が起こり、火災の原因になります。
安全のため、充電口や出力ポートなどの金属が見えている部分には、必ずセロハンテープやビニールテープ(電気を通さないテープ)を貼って覆う「絶縁処理」を行ってください。これはどの回収方法を選ぶ場合でも共通の必須マナーです。
3. 本体が膨張・変形していないかの状態確認
長年使用したモバイルバッテリーは、内部にガスが溜まってパンパンに膨らんだり、変形したりすることがあります。
JBRCの一般的な家電量販店リサイクルBOXでは、安全上の理由から「膨張・破損したバッテリー」の投入を禁止しているケースがほとんどです。手元のバッテリーが膨らんでいる場合は、BOXに無理に押し込まず、自治体の特定窓口へ相談するか、膨張品に対応しているメーカーの配送回収(エレコム修理センター等)を利用してください。
4. 回収場所ごとの受付条件と持ち込みルールの確認
「どこのメーカーのものでもBOXに入れていいのか」「手渡しなのか、箱に自分で入れるのか」は、店舗や拠点によってルールが異なります。JBRC非加盟の格安海外メーカー製などの場合、JBRCボックスでは回収できないケースもあります。
せっかく足を運んでも引き取りを断られてしまうことがないよう、事前に各窓口の条件(対象メーカー、数量制限、受付時間など)を確認してから向かいましょう。
【注意】最新の「ナトリウムイオン電池」はJBRC回収不可
近年、次世代のバッテリー技術として注目され、一部製品化が始まっている「ナトリウムイオンバッテリー(モバイルバッテリー)」。資源の希少性や熱安定性の観点から優れた技術ですが、2026年現在、一般社団法人JBRCのリサイクルシステム(家電量販店等の黄色い回収箱)では回収することができません。
ナトリウムイオン電池を使用したモバイルバッテリーを処分したい場合は、以下のいずれかの方法を取る必要があります。
- お住まいの自治体の清掃課や窓口に、ナトリウムイオン電池の回収が可能か直接相談する。
- エレコム製などの対応製品であれば、メーカーが指定する専用の回収ルート(エレコム修理センターへの配送回収や、エレコムデザインショップ店頭への持ち込み)を利用する。
リチウムイオン電池と同じ感覚で近所の家電量販店のBOXに混ぜて捨ててしまわないよう、十分注意してください。
モバイルバッテリーの捨て方に関するよくある質問
Q. モバイルバッテリーは「燃えないゴミ(不燃ゴミ)」として出しても本当にダメですか?
A. 出してはいけません。消防庁の集計では、廃棄されたリチウムイオン電池等を回収中の塵芥車・ごみ処理関連施設から出火した火災が令和6年だけで180件発生しています。自治体の回収ボックスやJBRCの協力店など、定められた専用の回収ルートを必ず使用してください。
Q. 膨張してパンパンになったモバイルバッテリーはどう処分すればいいですか?
A. 家電量販店などのJBRC回収BOXでは引き取ってもらえないことが多いため、まずは「お住まいの自治体のゴミ相談窓口」に状態を伝えて引き取りを依頼するか、膨張品の回収を明記しているメーカー独自の回収サービス(エレコム製品であればエレコム修理センターへの郵送など)を利用してください。
Q. まだ正常に動くモバイルバッテリーなのですが、捨てるしかありませんか?
A. 端子の破損がなく、正常に充放電ができる状態であれば、中古ガジェットの買取専門店やリサイクルショップで買い取ってもらえる可能性があります。特に、USB PD対応の「高出力・大容量モデル」や、人気ブランド(AnkerやCIOなど)の比較的新しいモデルであれば、廃棄するのではなく「リユース(売却)」という選択肢を検討するのもおすすめです。
まとめ:正しい捨て方で安全にモバイルバッテリーを処分しよう
モバイルバッテリーの処分において、最も大切な鉄則は以下の通りです。
- 可燃・不燃ゴミとしては絶対に捨てず、専門の回収ルートを使う。
- 持っていく前には、ショートを防ぐために必ず端子をテープで「絶縁」する。
- 製品の「電池の種類(リチウム・ナトリウム等)」や「膨張の有無」によって回収先を正しく選ぶ。
一見すると手間に感じるかもしれませんが、ゴミ収集作業員の方々の安全を守り、地域の重大な火災事故を防ぐために、一人ひとりがルールを徹底する必要があります。機器の寿命や劣化を感じたら放置せず、正しい方法で速やかに、そして安全にリサイクルへ回しましょう。
参考資料
制度や数値は改定されることがあります。
- 総務省消防庁「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果の公表」(令和8年1月29日)(確認日:2026年9月13日)
- 環境省「リチウム蓄電池関係」(確認日:2026年9月13日)
- 一般社団法人JBRC「協力店・協力自治体検索」(確認日:2026年9月13日)
- NITE(製品評価技術基盤機構)「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を」(2026年7月15日)(確認日:2026年9月13日)
次に買うときは
回収に出したあとの買い替え先です。PSEマークの表示と保護機能の記載があるものを選んでください。
Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W)
10,000mAh・約200g、最大22.5W出力。回収に出したあと、同じ容量帯で買い直すならこのあたりが定番です。PSEマークと保護機能の記載も確認できます。
CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.0 SS5K
5,000mAh・121g、厚さ8.7mm。半固体電池を採用しています。処分したあとの買い替え先として、次は長く使えるものをという場合の選択肢です。


