防災用ポータブル電源の選び方|容量は停電1日に使う電力から逆算する

ポータブル電源の1Whあたりの価格。700〜1500Whの機種が最も安い コラム

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防災用のポータブル電源は「容量(Wh)」と「定格出力(W)」の2つで選びます。容量は停電のあいだに使う電力の合計から、定格出力は同時に使う家電の消費電力の合計から決まります。

目安は、冷蔵庫を動かさないなら1,000Wh級、冷蔵庫も動かすなら2,000Wh級です。電子レンジやドライヤーも使うなら、定格出力1,500W以上を選んでください。

当サイト掲載機種では、1Whあたりの価格は700〜1500Whの機種がいちばん安く、中央値で約66円でした。

防災用ポータブル電源は「容量」と「定格出力」で選ぶ

ポータブル電源を選ぶときに決めるべき数字は、容量(Wh)と定格出力(W)の2つだけです。容量は「何時間・何日もつか」を、定格出力は「どの家電が動くか」を決めます。

この2つは別物です。容量が大きくても定格出力が小さければ電子レンジは動きませんし、定格出力が大きくても容量が小さければすぐに空になります。容量と出力の違いはモバイルバッテリーでお湯は沸かせる?足りないのは容量ではなく出力で詳しく書いています。

なお、容量の数字がそのまま使えるわけではありません。家庭用コンセントと同じAC出力に変換するときにロスが出るため、実際に使えるのは容量のおよそ85%として計算します(当サイトの製品ページも同じ前提で計算しています)。

停電1日に使う電力から、必要な容量を出す

必要な容量は「使いたい家電の消費電力×使う時間」を足し合わせ、0.85で割れば出ます。下の例では、冷蔵庫なしで約761Wh、冷蔵庫ありで約1,561Whになりました。

使い方(例) 計算 1日の電力量
スマホ2台を各1回充電 18Wh×2台 36Wh
LED照明 10W×5時間 50Wh
ノートパソコン 65W×3時間 195Wh
電気毛布(冬) 60W×8時間 480Wh
小計(冷蔵庫なし) 761Wh
冷蔵庫 年間消費電力量292kWh÷365日(例) 800Wh
合計(冷蔵庫あり) 1,561Wh

停電1日に使う電力の例。冷蔵庫ありで約1561Wh、なしで約761Wh

1,000Wh級の機種で実際に使えるのは約850Wh なので、冷蔵庫なしの1日(761Wh)はまかなえます。冷蔵庫も動かす1日(1,561Wh)には足りず、2,000Wh級(使えるのは約1,700Wh)が必要です。

表の消費電力と使用時間は計算のための例で、家庭によって大きく変わります。冷蔵庫は、取扱説明書や本体に書かれた「年間消費電力量(kWh)」を365で割ると、1日の目安が出ます。冷蔵庫は扉の開け閉めや室温でも変わるので、計算した値に余裕を持たせてください。

定格出力は「同時に使う家電の合計」で選ぶ

定格出力は、同時に動かす家電の消費電力の合計より大きいものを選びます。電子レンジ(約1,000W)やドライヤー(約1,200W)を使うなら、定格出力1,500W以上が目安です。

スマホの充電や照明、ノートパソコンだけなら定格300Wでも足ります。一方で、電気ケトル・電子レンジ・ドライヤーのように熱を出す家電は消費電力が大きく、定格出力を超えると動きません。使いたい家電の消費電力は、本体の銘板や取扱説明書に書かれています。

モーターを使う家電(冷蔵庫など)は、動き始めの一瞬だけ定格より大きな電力を使います。各社はこれに備えて「瞬間最大出力」や、電圧を下げて動かす機能(BLUETTIの電力リフト、EcoFlowのX-Boostなど)を用意していますが、常に使う家電の合計は定格出力の範囲に収めるのが基本です。

容量帯ごとにできること(当サイト掲載18機種)

当サイトに掲載しているポータブル電源18機種を容量帯で分けると、防災の主力になるのは700〜1500Whの帯で、冷蔵庫を除く1日分の電力をまかなえ、1Whあたりの価格も最も安くなっています。

容量帯 掲載数 1Whあたり(中央値) 停電時にできること
300Wh未満 3機種 約128円(価格を確認できた1機種) スマホと照明なら2日以上。ノートPCも使うと1日もたない
300〜700Wh 1機種 約136円(1機種) 上に加えて扇風機や小型の家電
700〜1500Wh 7機種 約66円(4機種) 冷蔵庫を除く1日分。定格1,500W前後なら電子レンジも
1500Wh以上 7機種 約113円(7機種) 2,000Wh級なら冷蔵庫を含む1日分

1Whあたりの価格は、楽天の掲載価格を容量で割って出しました(2026年10月12日時点)。Amazonでのみ扱いのある機種は価格を確かめられないため入れていません。価格は日々変わるので、目安として見てください。

1Whあたりの価格は700〜1500Whがいちばん安い

当サイト掲載機種のうち楽天で価格を確認できた13機種では、1Whあたりの価格が最も安かったのはBLUETTI AC70P の約62円で、上位3機種はすべて700〜1500Whの機種でした。小型の機種は1Whあたり130円前後と、約2倍の水準です。

ポータブル電源の1Whあたりの価格。700〜1500Whの機種が最も安い

小さい機種が割高になるのは、容量が小さくてもインバーターや筐体などにかかる費用は大きく変わらないためと考えられます。「とりあえず小さいものから」と買うと、容量あたりでは高くつくので、停電に備えるなら最初から700〜1500Whを選ぶほうが合理的です。

一方で、1500Wh以上は機種による差が大きく、2,304WhのBLUETTI AC200PLは約72円と安い一方、家まるごと向けのBLUETTI EP500Proは約181円でした。大容量帯は「容量あたりの安さ」より、拡張性や据え置き向けの機能で価格が決まっていると見られます。

電池はリン酸鉄リチウムを選ぶ

防災用に何年も置いておくなら、電池はリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を採用した機種を選びます。当サイト掲載18機種のうち、メーカーの商品情報でリン酸鉄と確認できたのは11機種でした(残り7機種は電池の種類を確認できていないだけで、リン酸鉄でないという意味ではありません)。

リン酸鉄リチウムは、一般にスマホなどで使われる三元系より熱に対して安定し、充放電の繰り返しにも強いとされています。メーカー各社も充放電回数を公表していて、たとえば Jackery 1500 New は約6,000回、Anker Solix C1000 は3,000回以上としています(いずれもメーカー公表値)。

電池の種類で絞り込んだ一覧はリン酸鉄リチウムのポータブル電源にまとめています。

ポータブル電源から出た火災は増えている

総務省消防庁の調査では、ポータブル電源から出火した火災は令和4年33件、令和5年42件、令和6年54件と増え続けています。令和7年は1〜6月だけで27件でした。

ポータブル電源から出火した火災件数。令和4年33件、令和5年42件、令和6年54件

件数が増えている背景には、普及が進んで台数そのものが増えていることもあると考えられます。それでも、一度発火したときの被害はモバイルバッテリーより大きくなりやすい点に注意が必要です。NITE(製品評価技術基盤機構)は「ポータブル電源には可燃性の電解液を含むリチウムイオン電池が複数個入っていて、一度発火すると複数個の電池が次々に発火して大きな火災につながるおそれがあります」としています。

NITEはあわせて、手持ちの製品がリコール対象でないかを確認し、対象なら異常がなくても使用をやめて販売店や製造事業者に連絡するよう呼びかけています。

備えとして置いておくときの注意

消費者庁は、ポータブル電源について「落としたりするなど衝撃を与えないようにする」「高温環境下での使用は控える」「長期間使用しない場合は箱に入れて直射日光が当たらない冷暗所に保管する」よう注意を呼びかけています。

  • 衝撃のあとは中身を疑う……消費者庁は「強い衝撃後に発熱、変形などの異常を感じた場合は使用中止し、製造・輸入・販売事業者の修理窓口に相談する」としています
  • 車内や窓際に置きっぱなしにしない……消費者庁は高温環境下での使用を控えるよう挙げています。夏の車内は特に高温になります
  • 屋外で使うなら防水・防塵を確かめる……消費者庁は屋外では防水・防塵性能のある製品の使用を検討するよう挙げています
  • 残量の保ち方は製品ごとの説明書に従う……保管時の推奨残量や充電の間隔は機種によって異なります

停電のときに空では役に立たないので、季節の変わり目など日を決めて残量を確かめ、少し使ってから充電し直しておくと安心です(これは当サイトのすすめで、公的な基準ではありません)。

容量帯別のおすすめ

当サイト掲載機種から、容量帯ごとに価格と仕様を確認できたものを選びました。停電で何を動かしたいかを先に決めてから選んでください。

冷蔵庫も動かしたい:BLUETTI AC200PL(2,304Wh)

BLUETTI AC200PLの製品画像

容量2,304Wh・定格出力2,000W。実際に使えるのは約1,958Whで、冷蔵庫を含む停電1日分(例では約1,561Wh)をまかなえる容量です。1Whあたり約72円と、1500Wh以上の帯では最も安い水準でした(楽天・2026年10月12日時点)。

詳しい仕様と「動かせる家電と使える時間」はBLUETTI AC200PLの製品ページにあります。

BLUETTI AC200PL
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長く使えるものを:Jackery 1500 New(1,536Wh)

Jackery 1500 Newの製品画像

容量1,536Wh・定格出力2,000W・リン酸鉄リチウム。使えるのは約1,306Whで、冷蔵庫なしの停電1日分(約761Wh)なら約1.7日もつ計算です。充放電は約6,000回、保証は5年とされています(メーカー公表値)。

定格2,000Wあるので、電子レンジやドライヤーも動かせます。Jackery 1500 Newの製品ページ

防災の主力に:Anker Solix C1000(1,000Wh)

Anker Solix C1000の製品画像

容量1,000Wh・定格出力1,500W・リン酸鉄リチウム。使えるのは約850Whで、冷蔵庫なしの停電1日分をちょうどまかなえる容量です。定格1,500Wなので電子レンジも動き、1Whあたり約76円でした(楽天・2026年10月12日時点)。

Anker Solix C1000の製品ページ

容量あたりの安さで:BLUETTI AC180P(1,440Wh)

BLUETTI AC180Pの製品画像

容量1,440Wh・定格出力1,800W。使えるのは約1,224Whで、冷蔵庫なしの停電1日分なら約1.6日もつ計算です。1Whあたり約63円と、掲載機種の中で2番目に安い水準でした(楽天・2026年10月12日時点)。

BLUETTI AC180Pの製品ページ

BLUETTI AC180P
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スマホと照明の備えに:Jackery 240 New(256Wh)

Jackery 240 Newの製品画像

容量256Wh・定格出力300W・リン酸鉄リチウム。使えるのは約218Whで、スマホ・照明・ノートパソコン中心の備えに向きます。定格300Wなので電子レンジやドライヤーは動きません。持ち出しやすさを優先する人向けです。

Jackery 240 Newの製品ページ

Jackery 240 New
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メーカー別にはAnker・BLUETTI・EcoFlow・Jackeryの一覧から比べられます。

よくある質問

防災用のポータブル電源は何Whあればいいですか?

冷蔵庫を動かさないなら1,000Wh級、冷蔵庫も動かすなら2,000Wh級が目安です。スマホ2台の充電・LED照明・ノートパソコン・電気毛布を1日使う例では約761Wh、冷蔵庫(年間消費電力量292kWhの例)を加えると約1,561Whになりました。AC出力に変換するロスがあるため、実際に使えるのは容量のおよそ85%として計算します。

ポータブル電源で冷蔵庫は動きますか?

定格出力が冷蔵庫の消費電力を上回っていれば動きます。ただし冷蔵庫は1日中動き続けるため、容量を大きく消費します。冷蔵庫の1日の電力量は、本体や取扱説明書に書かれた年間消費電力量(kWh)を365で割ると目安が出ます。年間292kWhの冷蔵庫なら1日約800Whで、これだけで1,000Wh級の機種で使える量(約850Wh)のほとんどを使います。

ポータブル電源で電子レンジは使えますか?

定格出力が電子レンジの消費電力より大きければ使えます。電子レンジは約1,000W前後のものが多いため、定格出力1,500W以上の機種が目安です。定格300Wや500Wの小型機では動きません。使いたい電子レンジの消費電力は、本体の銘板や取扱説明書で確認してください。

容量が大きいほど割高になりますか?

当サイト掲載機種で楽天の掲載価格を容量で割ったところ、1Whあたりの価格は700〜1500Whの機種が最も安く、中央値で約66円でした(2026年10月12日時点)。300Wh未満は約128円、1500Wh以上は約113円で、小さい機種ほど容量あたりでは高くなる傾向がありました。価格は日々変わるので目安として見てください。

ポータブル電源は火事にならないか心配です。

総務省消防庁の調査では、ポータブル電源から出火した火災は令和4年33件、令和5年42件、令和6年54件と増えています。NITEは、ポータブル電源にはリチウムイオン電池が複数入っており、一度発火すると次々に発火して大きな火災につながるおそれがあるとしています。リコール対象でないかを確認し、衝撃を与えない、高温の場所で使わない、長期間使わないときは冷暗所に保管する、といった点に注意してください。

使わないときはどう保管すればいいですか?

消費者庁は、長期間使用しない場合は箱に入れて直射日光が当たらない冷暗所に保管するよう呼びかけています。保管時の残量や充電の間隔は機種によって異なるので、取扱説明書の指示に従ってください。停電のときに空では役に立たないため、日を決めて残量を確かめておくと安心です。

まとめ:何を何時間動かしたいかで決める

防災用のポータブル電源は、容量(Wh)と定格出力(W)の2つで選びます。容量は停電のあいだに使う電力の合計を0.85で割って出し、定格出力は同時に使う家電の消費電力の合計より大きくします。

  • スマホと照明だけ……300Wh未満でも2日以上もつ(スマホ2台+照明で1日約86Wh)
  • 電気毛布や電子レンジも使いたい……700〜1500Wh・定格1,500W前後。1Whあたりも最も安い
  • 冷蔵庫も動かしたい……2,000Wh級(使えるのは約1,700Wh)

電池はリン酸鉄リチウムを選び、置き場所は高温を避けて冷暗所に。手持ちの製品がリコール対象でないかも一度確かめておいてください。

参考資料

安全に関わる記述は、以下の公的機関が公表している情報に基づいています。製品の仕様は各メーカーの公表値、価格は楽天の掲載価格です。