安全なモバイルバッテリーの選び方|半固体・準固体電池の値段と重さ

コラム

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発火が心配でモバイルバッテリーを選ぶとき、見ておきたいのは丸いPSEマークと会社名、電池の種類、何回くらい使えるかの3つです。

なかでも最近増えているのが、半固体・準固体電池を使ったモデルです。2026年10月には、MATECH・MOTTERU・オウルテックから半固体・準固体のモデルがまとめて出ました。ただ、同じ容量のふつうのモデルと比べると値段は1.4〜1.7倍。燃えにくさにそれだけ払うかどうかは、使い方で決めるのが現実的です。

火事の原因は、電池の種類より使い方のほうが多い

消防庁によると、モバイルバッテリーから出た火事は2025年に482件ありました。原因が分かったものでは、落としたりぶつけたりした衝撃が41件、暑い場所での使用・保管が23件で、製品の欠陥(18件)より多くなっています。

つまり、どんな電池を選んでも、落とさない・暑い場所に置かないのがいちばん効きます。そのうえで、万一のときに燃えにくい電池を選んでおく、という順番です。件数と原因の内訳はモバイルバッテリーの発火確率は?に書いています。

半固体・準固体電池とは

ふつうのリチウムイオン電池は、中で電気を運ぶ電解質に液体を使っています。この液体は燃えやすく、電池が傷んで中でショートしたときに火が出る原因になります。

半固体・準固体電池は、この電解質をゲル状や粘土のような状態にして、流れにくくしたものです。液漏れしにくく、傷んだときも急に熱を持ちにくいとされています。「半固体」「準固体」はメーカーによる呼び方の違いで、考え方は同じです。電解質を完全に固体にした「全固体電池」とは別物で、モバイルバッテリーではまだ一般的ではありません。

メーカーは安全性を試験の結果で示しています。たとえばMOTTERUは、自社で電池に釘を刺す試験をして発煙・発火しないことを確かめたとしています。ただ、これはメーカー自身の試験で、第三者の検証ではありません。燃えにくい電池であって、燃えない電池ではないと考えておくのが無難です。

値段は1.4〜1.7倍、重さはほぼ同じ

このサイトに載せている製品で、半固体・準固体のモデルとそれ以外のモデルを容量ごとに比べました。

容量ごとの参考価格の中央値。5,000mAhは3,990円と6,730円、10,000mAhは4,880円と8,235円、20,000mAhは7,390円と10,485円
ふつうの電池はこのサイトの製品の参考価格、半固体・準固体は各社の発表価格。いずれも中央値で、セール価格は含みません。

10,000mAhで比べると、ふつうのモデルが4,880円、半固体・準固体が8,235円で、差は3,000円あまりです。5,000mAhでも2,700円ほど違います。

「長く使えるから元が取れる」という説明もよく見かけます。MOTTERUの準固体モデルは充放電約2,000回をうたっていて、ふつうの電池はMOTTERUの説明で約500回、CIO Mate Powerbank004の仕様では約300回です。ただ、週に2〜3回使い切るくらいなら300回でも2年以上もつ計算です。値段の差は、燃えにくさに払う分と考えたほうが分かりやすいです。

容量ごとの重さの中央値。5,000mAhは119gと121g、10,000mAhは202gと204g、20,000mAhは415gと355g
重さが公表されていない製品は除いています。

重さはほとんど変わりません。20,000mAhは半固体・準固体のほうが軽く出ていますが、これは最近出た小型のモデル(MATECH PowerCube 20000の約316g、MOTTERUの約337g)が入っているためで、電池の種類のおかげというより製品ごとの差です。

選ぶときに見るところ

丸いPSEマークと会社名

モバイルバッテリーは、丸いPSEマークがないと国内で売れません。マークの近くに、国に届け出た会社の名前が入っているかも見ておきます。見方はPSEマークの見方に書いています。

リコールになっていないか

大手メーカーの製品でもリコールは起きています。中古やフリマで買うときは特に、型番をリコール一覧で確かめてください。

何回使えるか(サイクル寿命)

商品ページの仕様に「くり返し使用回数」「サイクル寿命」として書かれていることがあります。同じ5,000mAhでも、10月に出たCIO Mate Powerbank004は約300回、MOTTERUの準固体モデルは約2,000回と、書かれている数字にかなり差があります。書いていない製品もあるので、気になる人は書いてあるものから選ぶと比べやすいです。

出力が足りるか

スマホだけなら20Wあれば十分です。タブレットやノートパソコンにも使うなら30〜45W以上のモデルを選びます。半固体・準固体のモデルは20W止まりのものも多いので、容量だけで選ばないようにします。

半固体・準固体のモデル一覧

2026年10月17日時点で、Amazonや楽天で買える主なモデルです。価格は各社の発表時の価格(税込)です。

製品 容量 重さ 最大出力 価格
オウルテック OEC-PBM5002J 5,000mAh 約92g 20W 6,480円
MOTTERU MEC-MBSS5003 5,000mAh 約106g 20W 4,480円
CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.0 SS5K 5,000mAh 約121g 20W 6,980円
エレコム DE-C85-5000BK 5,000mAh 約135g 22.5W 6,280円
CIO SMARTCOBY Ex04 Wireless2.2 CABLE SS5K 5,000mAh 約151g 20W 7,130円
MATECH MagOn Watch Slim 5000 SemiCore 5,000mAh – 20W 7,990円
オウルテック OEC-LPB10024 10,000mAh 約182g 30W 4,980円
MOTTERU MEC-MBSS10003 10,000mAh 約185g 20W 5,980円
オウルテック OEC-PBM10004J 10,000mAh 約224g 20W 6,980円
オウルテック OEC-PBM10002J 10,000mAh 約150g 30W 7,980円
オウルテック OEC-PBM10003J 10,000mAh 約247g 20W –
MATECH MagOn Power Max Cable 10000 10,000mAh – 45W 7,990円
エレコム DE-C86-10000BK 10,000mAh 約220g 35W 8,480円
MOTTERU MOT-MBSS10002 10,000mAh 約208g 30W 8,860円
CIO SMARTCOBY Ex05 Wireless2.2 Pro CABLE SS10K 10,000mAh – 35W 8,980円
CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.2 SS10K 10,000mAh 約200g 30W 9,480円
MATECH MagOn Watch Max 10000 半固体 10,000mAh – 20W 9,990円
MOTTERU MEC-MBSS20003 20,000mAh 約337g 45W 9,980円
MATECH PowerCube 20000 半固体 20,000mAh 約316g 45W 9,990円
CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS 20,000mAh 約355g 67W 10,980円
MOTTERU MOT-MBSS20001 20,000mAh 約420g 65W 14,420円
エレコム DE-C87-20000BK 20,000mAh 約405g 67W オープン価格

最大出力は有線の値。「-」は公表されていない項目です。

容量・重さ・値段のバランスで、用途ごとに1つずつ挙げます。

毎日持ち歩くなら:MOTTERU 準固体 5000mAh(MEC-MBSS5003)

MOTTERU 準固体モバイルバッテリー 5000mAh MEC-MBSS5003

約106gと軽く、値段は一覧のなかでいちばん安いモデルです。ストラップを兼ねたUSB-Cケーブルが本体についていて、スマホ約1回分を毎日かばんに入れておく使い方に向きます。出力は20Wなので、スマホとイヤホン向けです。

薄さで選ぶなら:オウルテック OEC-PBM5002J

オウルテック 準固体モバイルバッテリー 5000mAh OEC-PBM5002J

厚さ6.7mm・約92g。一覧のなかでいちばん薄くて軽いモデルです。iPhoneの背中に磁石でくっつき、ワイヤレスで最大15W出せます。MOTTERUより2,000円ほど高くなります。

ノートパソコンにも使うなら:MATECH PowerCube 20000 半固体電池モデル

MATECH PowerCube 20000 45W 半固体電池モデル

20,000mAhで約316g、最大45W。20,000mAhの半固体・準固体のなかでいちばん軽いモデルです。ポートは3つで、3台まで同時に充電できます。高温になると出力を30Wに抑える仕組みがあります。

それぞれの特徴をもう少し詳しく比べたい人は発火しにくいモバイルバッテリー14選もどうぞ。

どの電池でも気をつけること

よくある質問

半固体電池のモバイルバッテリーは燃えませんか?

燃えにくくはなっていますが、絶対に燃えないわけではありません。メーカーは自社の釘刺し試験などで発火しにくいことを示していますが、第三者による検証ではありません。落とさない、暑い場所に置かないといった扱いは、ふつうの電池と同じように必要です。

半固体と準固体は何が違いますか?

メーカーによる呼び方の違いで、電解質をゲル状や粘土状にして流れにくくしている点は同じです。CIO・エレコム・MATECHは「半固体」、MOTTERUは「準固体」と呼んでいます。電解質を完全に固体にした全固体電池とは別のものです。

半固体のモバイルバッテリーはどのくらい高いですか?

このサイトに載せている製品で比べると、同じ容量のふつうのモデルの1.4〜1.7倍でした。10,000mAhでは、ふつうのモデルの中央値が4,880円、半固体・準固体が8,235円です。

半固体のモバイルバッテリーは重いですか?

ほとんど変わりません。重さの中央値は、5,000mAhでふつうのモデル119gに対して121g、10,000mAhで202gに対して204gでした。

飛行機に持ち込めますか?

電池の種類にかかわらず、持ち込めるかどうかはWh(ワット時)で決まります。10,000mAhや20,000mAhのモデルは100Wh以下なので、ふつうは機内に持ち込めます。預け入れの荷物には入れられません。