モバイルバッテリーが発火する原因|燃える前の前兆と、異常に気づいたときの対処

自動車内で起きたモバイルバッテリーの事故49件の状況。充電中や使用中ではないが38件、充電中が6件、使用中が5件 コラム

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モバイルバッテリーが燃えるのは、中の電池でプラスとマイナスが直接つながってしまい(内部ショート)、可燃性の電解液に火がつくからです。そのきっかけで多いのは、落とす・ぶつけるといった衝撃と、夏の車内のような高温です。

燃える前には、いつもより熱い、においがする、膨らむ、急に残量が減る、といった異常が出ることがあります。NITE(製品評価技術基盤機構)がまとめている異常のサインと、気づいたときの扱いまで順に書きます。

中で起きていること:プラスとマイナスがつながる

リチウムイオン電池の中は、正極板(プラス)と負極板(マイナス)をセパレータという薄い膜で仕切った構造で、そのまわりは可燃性の電解液で満たされています(NITE)。

セパレータが傷むなどして正極と負極が電気的につながることを、内部ショートと呼びます。内部ショートが起きると電池が異常に熱を持ち、発煙や発火につながります。膨らんだ電池が破裂し、噴き出した可燃性のガスに火がついたと推定される事故も起きています。

衝撃も高温も製品の欠陥も、最後はこの「中で熱を持つ」ところにつながります。

きっかけで多いのは、衝撃と高温

消防庁の集計では、2025年にモバイルバッテリーから出た火事は482件でした。原因が特定された105件のうち、外部衝撃が41件、高温の場所での使用・保管が23件、製品の欠陥が18件、充電方法の誤りと分解がそれぞれ11件、水没が1件です。残りの377件は、この調査では原因が特定されていません。件数の推移は発火確率と火事の件数にまとめています。

落とす・ぶつける・押しつぶす

外から強い力が加わると、中で内部ショートが起き、発煙や発火につながります(NITE)。落としてすぐには何ともなくても、あとから熱を持つことがあります。

NITEが紹介している例では、2024年7月に大阪府で、かばんにモバイルバッテリーを入れて自転車で走っていたところ、異音がして確かめると本体と周りが燃えていました。電池の焼け方が激しく原因の特定には至っていませんが、外側のケースや基板の一部に割れがあり、電池に外から力が加わって異常に熱を持った可能性が考えられる、とされています。

見落としやすいのは、かばんの中です。NITEは、かばんに入れるときは上や近くに硬いもの・重いものを置かないこと、座ったときに曲がるのでズボンの後ろポケットになるべく入れないことを挙げています。膨らんだ電池を押して元に戻そうとして、異常に熱を持って燃えた事故も起きています。

暑い場所に置く

リチウムイオン電池は、高温の中に置くと熱の影響で異常な反応が起き、発熱・破裂・発火するおそれがあります(NITE)。NITEに通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は、気温が上がるとともに増え、8月にいちばん多くなります。

自動車内で起きたモバイルバッテリーの事故49件の状況。充電中や使用中ではないが38件、充電中が6件、使用中が5件

自動車内の事故は、製品別ではモバイルバッテリーがいちばん多く、2021〜2025年の5年間に49件ありました。そのうち38件は、充電中でも使用中でもありませんでした。車に置いたままにしていただけで燃えています。

2024年7月には滋賀県で、店の駐車場に止めた車の中に置いていたモバイルバッテリーと周りが燃えました。中の電池が内圧の上昇で膨らんで破裂し、噴き出した可燃性のガスに火がついたものと推定されています(NITE)。

NITEによると、暑い日はダッシュボードの上だけでなく、座席の上も含めて車の中全体が高温になります。かばんに入れていても、窓際や砂浜、ベンチの上など、日が当たる場所に置いたままにしないでください。

製品の欠陥・リコール

使い方に問題がなくても、製品そのものが原因で燃えることがあります。2025年の消防庁の集計では18件でした。

2025年1月に千葉県で起きた事故では、充電中のモバイルバッテリーから異臭と煙が出て、本体と周りが焼けました。この製品は、電池セルのメーカーが不適切な部材を使っていたことが分かり、輸入事業者が2024年9月17日から回収・交換をしていたものでした(NITE)。2021〜2025年にNITEへ通知されたモバイルバッテリーの事故506件のうち、69件はリコール対象の製品です。

リコールの対象なら、異常がなくてもすぐに使うのをやめて、販売店やメーカーに相談するようNITEは呼びかけています。手元の製品はモバイルバッテリーのリコール一覧で確かめられます。

充電のしかた・分解・水濡れ

消防庁の集計で、充電方法の誤りと分解はそれぞれ11件、水没は1件でした。NITEのチェックリストは、指定された充電器を使うこと(出力電圧の違う充電器を使わない)、防水でない製品を水に濡らさないこと、分解しないことを挙げています。捨てる前に中を確かめようとして分解し、電池が傷んで燃えた事故も起きています。

燃える前に出やすいサイン

NITEは、次のような異常があるときは発火につながるリスクが高くなっているとして、充電や使用をやめて、販売店やメーカーに相談するよう案内しています。

  • 充電できない
  • 不意に電源が切れる、急に充電残量がなくなる
  • 充電中に以前よりも異常に熱くなる
  • 膨らんで、変形している(膨らんだときの保管と処分)
  • 焦げたにおいや化学薬品のようなにおいがする
  • 落とす、ぶつけるなどで強い衝撃を与え、一部が変形や破損をしている(落としたときの判断、ひび割れたとき)

相談するまでの間は、金属の缶や土鍋など燃えない容器に入れておくよう、NITEのチェックリストに書かれています。充電器にはつながないでください。

煙や火が出たら

煙や炎が噴き出している間は、絶対に近寄らないでください。モバイルバッテリーくらいの大きさなら、火花が収まってから消火器か大量の水をかければ消せます(NITE)。

消えたあとも電池は熱を持っていて、冷やさないまま燃えやすいものに触れると、また火が出るおそれがあります。できるだけ水に沈めたままにして、消防に連絡します。自分で消すのが難しいと思ったら、身の安全を優先して119番です。

原因を避ける使い方

原因の上位が衝撃と高温なので、この2つを避けるのがいちばん効きます。

  • 車の中に置いていかない:ダッシュボードの上だけでなく、座席の上やかばんの中も同じ
  • 日の当たる場所に置かない:窓際、砂浜、ベンチの上
  • かばんの中で重いものの下にしない:ズボンの後ろポケットにも入れない
  • 目の届くところで充電する:寝ている間や外出中の充電は避ける(充電しっぱなしについて)
  • 付属または指定の充電器・ケーブルを使う
  • 買う前と買ったあとにリコールを確かめる:本体のPSEマークと事業者名も見ておく(PSEマークの見方)

温度を見て出力を抑える・電池の状態が分かるモデル

使い方で防げない欠陥はありますが、熱くなったら出力を抑える仕組みや、電池の状態を知らせる機能がついたモデルもあります。どちらも電解質を固めた半固体電池です。

MATECH PowerCube 20000 45W 半固体電池モデル

20,000mAh・約316g・最大45W、ポートは3つ。高温になると出力を30Wに抑える仕組みがあります。

エレコム 半固体モバイルバッテリー 5000mAh 22.5W DE-C85-5000BK

約135g・22.5W、USB-CとUSB-Aの2ポート。充放電の回数から電池の状態を判定してランプで知らせる「Health Monitor」がついていて、買い替えどきが分かります。

エレコム 半固体モバイルバッテリー 5000mAh 22.5W DE-C85-5000BK
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ほかのモデルは発火しにくいモバイルバッテリー14選で比べています。

よくある質問

モバイルバッテリーが発火する原因は何ですか?

中の電池でプラスとマイナスが直接つながる内部ショートが起き、電池が異常に熱を持つことで、可燃性の電解液やガスに火がつきます。きっかけは、2025年の消防庁の集計で原因が特定された105件のうち、外部衝撃が41件、高温の場所での使用・保管が23件、製品の欠陥が18件でした。

発火する前に前兆はありますか?

NITEは、充電できない、急に電源が切れる・残量がなくなる、充電中に以前より異常に熱い、膨らんでいる、焦げたにおいや薬品のようなにおいがする、衝撃で変形・破損している、を発火のリスクが高いサインとして挙げています。

使っていないモバイルバッテリーも発火しますか?

発火します。2021〜2025年にNITEへ通知された自動車内のモバイルバッテリーの事故49件のうち、38件は充電中でも使用中でもありませんでした。暑い日の車内や日の当たる場所に置いたままにしないでください。

異常に気づいたらどうすればいいですか?

充電や使用をやめて、金属の缶や土鍋など燃えない容器に入れ、販売店やメーカーに相談してください。煙や火が出ているときは近づかず、火花が収まってから消火器か大量の水で消し、水に沈めたまま消防に連絡します。