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モバイルバッテリーが発火する「確率」は、国もメーカーも公表していません。日本で何台が使われているかが分からず、割り算ができないからです。
分かっているのは件数です。消防庁によると、モバイルバッテリーから出た火事は2024年に290件。2022年の122件から2.4倍に増えました。原因が分かったものでは、落としたりぶつけたりした衝撃と、暑い場所での使用・保管が多くなっています。
発火する確率は公表されていない
確率を出すには「事故の件数 ÷ 使われている台数」が必要ですが、使われている台数のほうが誰にも分かりません。モバイルバッテリーは何年も使われ、家に眠っているものも多いからです。
「〇万台に1台」といった数字を見かけても、根拠が示されていなければ参考程度に考えておくのが無難です。そのかわり、消防庁とNITE(製品評価技術基盤機構)が、火事と事故の件数を毎年まとめています。
火事の件数は2年で2.4倍
モバイルバッテリーから出火した火事は、2022年122件、2023年182件、2024年290件と増え続けています。2025年は1〜6月だけで194件で、前の年を上回るペースです。

リチウムイオン電池を使った製品の火事のなかでも、モバイルバッテリーは毎年いちばん多く、2024年は982件のうち290件を占めていました。電動工具や携帯電話機、ポータブル電源よりもずっと多い件数です。
NITEの集計でも同じ傾向が出ています。2020〜2024年の5年間にNITEへ届いたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件で、そのうち約85%が火災になりました。製品別ではモバイルバッテリーがいちばん多く、2024年は2022年の2倍以上に増えています。
原因で多いのは「ぶつけた・落とした」と「暑い場所」
2024年の290件のうち、原因が分かったものでいちばん多いのは外部衝撃(28件)、次が高温の場所での使用・保管(27件)でした。この2つで、原因の分かった火事の半分以上になります。

落とす・ぶつける・押しつぶす
中の電池は、プラスとマイナスを薄い膜(セパレータ)で仕切っています。強い衝撃でこの膜が傷むと、中でショートして熱を持ち、発火することがあります。落としたあとすぐには何ともなくても、あとから熱を持つことがあるので、落とした直後の扱いはモバイルバッテリーを落としたらに書いています。
暑い場所に置く
夏の車の中や、日の当たる窓際は要注意です。NITEの集計では、リチウムイオン電池の事故は春から夏にかけて増え、6〜8月にピークになります。NITEは、真夏の車内に置いたモバイルバッテリーが燃えた事例も紹介しています。
製品の欠陥
使い方に問題がなくても、製品そのものに原因があるケースが17件ありました。リコールになった製品を使い続けていることもあるので、手元の製品はリコール一覧で一度見ておくと安心です。
発火を防ぐには
原因の上位を避けるのがいちばん効きます。NITEが呼びかけている内容も、ほぼ次のとおりです。
- 落とさない・ぶつけない:かばんの底で重いものの下敷きにしない。落としたら、しばらく様子を見てから使う
- 暑い場所に置かない:夏の車内、窓際、暖房器具のそばに置きっぱなしにしない
- 膨らんだら使わない:押し戻そうとするのは危険。NITEは、膨らんだバッテリーを押し込んで発火した事例を紹介しています
- 充電中は時々様子を見る:熱い、においがする、と思ったらすぐに充電をやめる
- 連絡先のはっきりしたメーカー・お店で買う:本体の丸いPSEマークと会社名も見ておく(PSEマークの見方)
膨らんでしまったものの扱いは膨らんだモバイルバッテリーの保管方法と処分に書いています。
もし発火したら
NITEは、発火したら大量の水で消火し、できるだけ水に沈めた状態で119番に通報するよう案内しています。火花や煙が出ているあいだは近づかず、収まってから水をかけます。
消火器がなくても、水で消せます。消えたように見えても中で熱が残っていることがあるので、水に沈めたまま、消防の指示を待ってください。
燃えにくい電池のモバイルバッテリー
電池そのものを燃えにくくしたい人には、電解質を固めた半固体・準固体電池のモデルもあります。
CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.0 SS5K
5,000mAh・約121g・厚さ8.7mm。半固体電池の薄型で、Qi2のワイヤレス充電にも対応しています。
MATECH PowerCube 20000 45W 半固体電池モデル
20,000mAh・約316g・最大45W。半固体電池の大容量モデルで、ノートパソコンにも使えます。
ほかのモデルは発火しにくいモバイルバッテリー14選で比べています。持ち歩くときの備えには耐火ポーチという選択肢もあります。
よくある質問
モバイルバッテリーが発火する確率はどれくらいですか?
確率は国もメーカーも公表していません。日本で使われている台数が分からないためです。件数で見ると、消防庁によるとモバイルバッテリーから出た火事は2024年に290件で、2022年の122件から2.4倍に増えています。
発火の原因でいちばん多いのは何ですか?
2024年の消防庁の集計では、原因が分かったもののうち外部衝撃(落とす・ぶつけるなど)が28件、高温の場所での使用・保管が27件で上位でした。製品の欠陥は17件、充電のしかたの誤りは13件です。
夏は発火しやすいですか?
NITEの集計では、リチウムイオン電池の事故は春から夏にかけて増え、6〜8月にピークになります。夏の車内や日の当たる窓際に置きっぱなしにしないのがいちばんの対策です。
充電しながら寝ても大丈夫ですか?
原因の上位は衝撃と高温で、充電のしかたの誤りは2024年で13件でした。ただ、異常に気づけないまま燃えると被害が大きくなります。布団の上など熱がこもる場所は避け、燃えやすいものから離して充電すると安心です。
発火したらどうすればいいですか?
NITEは、大量の水で消火し、できるだけ水に沈めた状態で119番に通報するよう案内しています。火花や煙が出ているあいだは近づかず、収まってから水をかけてください。
PSEマークがあれば発火しませんか?
PSEマークは国の基準に合わせて作り、検査したしるしで、事故が起きないことまでは約束していません。製品の欠陥による火事も2024年に17件あり、大手メーカーの製品でもリコールは起きています。
まとめ
モバイルバッテリーが発火する確率は公表されていませんが、火事の件数は2024年に290件と、2年で2.4倍に増えています。原因で多いのは衝撃と暑い場所なので、落とさない・車内に置かない・膨らんだら使わない、の3つを守るだけでもかなり違います。



