モバイルバッテリーの捨て方は自治体でここまで違う|27自治体を調べた

全国27自治体のモバイルバッテリーの出し方を区分別に集計した横棒グラフ。持ち込みのみが13件で最多、不燃ごみが5件と続く コラム

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全国27自治体の公式案内を1件ずつ確認しました。結果、集積所(ごみの日)に出せるのは14自治体、持ち込みが必要なのは13自治体。出せる場合も「何の日に出すか」は9通りに分かれていました。

「モバイルバッテリーは自治体のルールに従ってください」という説明をよく見かけます。ですが、その先が分かりません。実際にどれくらい違うのかを確かめるため、政令指定都市と東京23区を中心に27自治体の公式ページを1件ずつ読んで集計しました。

結論を先に言うと、想像以上にバラバラでした。同じ神奈川県でも、横浜市は「燃やすごみ」の日、川崎市は「小物金属」の日です。隣の市のルールがそのまま通じるとは限りません。

全国27自治体のモバイルバッテリーの出し方を区分別に集計した横棒グラフ。持ち込みのみが13件で最多、不燃ごみが5件と続く

調査の方法

  • 対象:政令指定都市18市+東京23区のうち9区、計27自治体
  • 方法:各自治体の公式ページを実際に開いて読み、記載内容をそのまま記録
  • 時期:2026年9月(確認日は自治体ごとに個別ページへ記載)
  • 記録項目:出す区分、手順、絶縁の要否、対象になるもの、膨張・破損品の扱い、出典URLとページ更新日

検索結果の抜粋やまとめサイトは使っていません。公式ページに書かれていない項目は、推測で埋めず「明記がありません」と記録しています。

結果1:集積所に出せるかどうかが、ほぼ半々

区分 自治体数
ごみの日に集積所へ出せる 14
持ち込みなどが必要 13

「モバイルバッテリーはごみに出せない」と一般論で書かれることが多いのですが、実際には半数の自治体で集積所に出せます。逆に言えば、残り半数では出せません。どちらの一般論も、自分の住んでいる市では外れる可能性が五分五分ということです。

結果2:出せる場合も「何の日か」が9通り

ここが一番驚いた点です。集積所に出せる14自治体でも、出す区分はバラバラでした。

出す区分 自治体
不燃ごみ 世田谷区、練馬区、江戸川区、江東区、葛飾区
特定品目 新潟市、熊本市
燃やすごみ 横浜市
プラスチック資源 名古屋市
小物金属 川崎市
缶・びん・ペットボトル等 仙台市
有害ごみ 広島市
資源化物(廃乾電池) 岡山市
集積所(電話申込制) 堺市

「燃やすごみ」と「不燃ごみ」が分かれているだけでなく、「プラスチック資源」「小物金属」「缶・びん・ペットボトル」と、まったく別の資源区分に載せている市もあります。

袋の指定まで違います。名古屋市は無色透明の袋のみ(令和6年4月から半透明は不可)、川崎市は透明な袋に貼り紙、世田谷区は別袋に「充電式電池」と記載、仙台市は透明の袋に入れて黄色の回収箱へ。覚えて使い回せるルールではありません。

結果3:膨らんだものの扱いが、一番分かれる

膨張したモバイルバッテリーは発火の危険が高く、多くの自治体が特別扱いにしています。ただしその「特別扱い」の中身が違いました。

膨張品の扱い 自治体
ごみとして出せる 江戸川区、江東区(「膨張電池」と表示)、葛飾区、川崎市(別袋+貼り紙)
回収ボックスに入れられる 大田区、北九州市、相模原市、千葉市
電話で申し込めば出せる 堺市
職員が自宅まで取りに来る 大阪市(訪問回収)
窓口へ持ち込み 横浜市、世田谷区、練馬区、足立区、神戸市ほか
公式に明記がない 名古屋市、仙台市、熊本市、岡山市

膨らんだバッテリーは持ち運び自体が不安なものです。大阪市の訪問回収は、電話で申し込めば職員が自宅まで回収に来てくれる仕組みで、今回調べたなかでは唯一でした。運べない人にとっては決定的な違いです。

一方で、4自治体は公式ページに膨張品の記載がありませんでした。この場合は自己判断せず、市へ問い合わせるのが確実です。

結果4:共通していたのは「絶縁」だけ

27自治体を通して、ほぼ例外なく求められていたのが端子部の絶縁でした。

  • ビニールテープ、セロハンテープ、布製ガムテープなど、テープの指定はまちまち
  • 足立区と葛飾区は「電気絶縁用ビニールテープもしくは布製のガムテープ」と材質を指定
  • 江東区は「充電式電池のみ絶縁が必要。アルカリ・マンガン・ボタン電池は不要」と区別

出し方がどれだけ違っても、絶縁だけは共通です。理由は明快で、金属端子どうしが触れると一気に電流が流れ、発熱・発火するからです。

なぜこれだけ違うのか

背景には、リチウムイオン電池が原因の火災が増えていることがあります。消防庁の調査では、廃棄されたリチウムイオン電池等を回収中の塵芥車・ごみ処理関連施設から出火した火災は、令和4年161件、令和5年171件、令和6年180件と増え続けています(消防庁 令和8年1月29日公表)。

環境省も市町村に対して分別・拠点回収の徹底を求める方針を示しており、各自治体がそれぞれのごみ収集体制に合わせて新しい区分を作った結果、これだけの差が生まれたと考えられます。

実際、今回調べたなかでも制度変更が続いていました。横浜市は令和7年12月から、川崎市は令和7年11月から、世田谷区は令和7年10月から収集を開始。大田区は令和8年5月から専用ボックスを設置。相模原市は2026年10月から集積場所での収集を始める予定です。数年前に調べた情報は、もう当てになりません。

「捨て方がわからない」人が半数いる

この分かりにくさは、数字にも表れています。東京都が都庁第一本庁舎で行っている回収実証では、最初の36日間で1,983人が4,625点を持ち込みました。そのうち最も多かった品目がモバイルバッテリーで1,500点(32.4%)です。

持ち込んだ理由を聞いたところ、「捨て方がわからなかった」が831件(48.7%)でトップでした(株式会社フォーステック 2026年9月9日公表)。

危険だと知りながら放置していたのではなく、持っていく先が分からなかった人が半数だったということです。今回の調査結果は、その実感を裏づけるものでした。

自分の自治体を調べるには

  1. 調査済みの27自治体なら、捨て方・リサイクルの一覧から選んでください。手順・袋の指定・膨張品の扱い・出典を個別にまとめています
  2. それ以外の自治体は、「(市区町村名) モバイルバッテリー 処分」で検索すると公式の案内が見つかります
  3. 家電量販店などの回収ボックスは自治体の制度とは別枠です。JBRCの協力店・協力自治体検索から探せます

どの自治体でも共通して必要なのは、端子部の絶縁です。手順は【2026年最新】モバイルバッテリーの正しい捨て方にまとめています。膨らんでいる場合の扱いは膨らんだモバイルバッテリーの保管方法と処分をご覧ください。

買い替えるなら

処分のついでに買い替えるなら、長く使えるものを選ぶと捨てる回数自体が減ります。電解質の流動性を抑えた半固体・準固体電池のモデルは、サイクル寿命2,000回を公表しているメーカーもあります(一般的なリチウムイオン電池は約500回とされます)。

CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.0 SS5K

5,000mAh・121g、厚さ8.7mm。半固体電池を採用した薄型モデルです。カバンに入れたままにしがちな人に向きます。

エレコム 半固体モバイルバッテリー DE-C86-10000BK

10,000mAh・約220g、最大35W。充放電回数から電池の健康状態を診断する「Health Monitor」を搭載しており、買い替えどきが数字で分かります。膨らんでから気づくより確実です。

まとめ

  • 27自治体のうち、集積所に出せるのは14、持ち込みが必要なのは13
  • 出せる場合も「何の日に出すか」は9通り。袋の指定まで違う
  • 膨張品はごみで出せる自治体から、窓口相談、訪問回収まで幅がある
  • 共通しているのは端子部の絶縁だけ
  • 制度変更が続いており、数年前の情報は当てにならない

調査データは今後も自治体を追加しながら更新します。掲載していない自治体のリクエストがあれば、お問い合わせからお寄せください。

調査データと出典

本記事の集計は、27自治体の公式ページを2026年9月に個別に確認した結果に基づきます。各自治体の出典URLと確認日は、自治体ごとの個別ページに記載しています。制度は変わるため、実際に出す前にお住まいの自治体の最新の案内をご確認ください。